「第一種衛生管理者」は国家資格です。
国家資格というと、相当な勉強量が必要な気がしますが、「第一種衛生管理者」はそこまで難易度が高いものではありません。
わたしは、試験1カ月前からの細切れ勉強で一発合格できました。忙しい働くママでも取得しやすい国家資格ですよ。
この記事では、わたしが、独学で第一種衛生管理者に一発合格した勉強法をシェアしたいと思います。
衛生管理者とは
衛生管理者とは、職場の中で働く人たちの安全と健康を守るために、安全で衛生的な職場環境を確保し管理する人のことです。
「労働安全衛生法」という法律によって、50人以上の従業員がいる会社は、必ず衛生管理者を置かなくてはいけません。
衛生管理者には、「第一種衛生管理者」と「第二種衛生管理者」があります。
「第二種衛生管理者」は、有害業務が少ない金融業や小売業(スーパーやデパート)、旅館、オフィス事務所において「衛生管理者」になることができます。
一方で、「第一種衛生管理者」は、どの業種の職場でも「衛生管理者」として働けるので、これから資格を取得するのであれば第一種衛生管理者の取得をオススメします。
従業員の数によって最大6人まで選任しなくてはならないので、社命で取得することが多い資格です。
直接、転職や就職に有利にはなりませんが、転勤族について来て何度も就職面接を受ける中で、「ぼくもこれ取ったよ~」と面接官との話題に上ることが何度かありました。
会社員の取得者も多いので、面接時の話題づくりにもいいかもしれませんね。
第一種衛生管理者試験の概要
試験概要
受験料は6,800円です。
試験は各地の安全技術試験センターで行われます。
また、頻度は下がりますが出張特別試験と言って各地の大学などでも定期的に開催されています。
開催頻度は関東安全技術試験センターで月4~5回ほどです。
試験はマークシート方式で試験時間は3時間となります。
※2020年11月現在、新型コロナウィルスの影響で出張特別試験の開催は未定となっています。
その代わり、安全技術センターでの試験日程を増やしているようです。
詳細は、>公益財団法人 労働衛生技術試験協会のサイトから確認できます。
受験資格
大学または高等専門学校を卒業して、1年以上労働衛生の実務に従事した人が受験できます。
高校または中等教育機関卒業の場合は、3年以上の実務が必要です。
証明書として「卒業証明書」と「事業者証明書」の原本の提出が必要です。
取り寄せたり、申請に時間がかかったりすることもあるので、早めに手続きしましょう。
試験科目
第一種衛生管理者試験は、マークシート方式で5つの科目に分かれています。
- 関係法令(有害業務)・・・10問・計80点(8点/1問)
- 関係法令(有害業務以外)・・・7問・計70点(10点/1問)
- 労働衛生(有害業務)・・・10問・計80点(8点/1問)
- 労働衛生(有害業務以外)・・・7問・計70点(10点/1問)
- 労働生理・・・10問・計100点(10点/1問)
合格の基準点は6割以上ですが、足切りがあり、各科目で4割以上を得点する必要があります。
足切りがあるので、苦手科目を作らずまんべんなく得点することを目指しましょう。
足切りラインさえクリアしておけば、あとは得意科目で全体を6割までもっていけばOKです。
独学で合格するために使用した参考書
ほぼ過去問題集の参考書1冊で合格できました。
実際に使用したのは、コレ。
「詳解 第1種衛生管理者過去6回問題集(コンデックス情報研究所)」です。
選んだ理由は、解答の解説が詳しいこと!
過去問題を解くにあたって重要なのは、解答の見直し(なぜ正解したか・不正解したか)ですが、別のテキストを見直すのが面倒だと思ったので、1冊で完結するように解説の詳しいこの本にしました。
覚える事項も解説にまとまっているので、別途テキストを買わなくてもこれ1冊で学習できます。
ただし、労働衛生に関する業務に馴染みが薄い方は、テキストもあったほうがいいと思います。
「この1冊で合格! 村中一英の第1種衛生管理者 テキスト&問題集 (村中 一英)」は、簡潔にまとまっていて分かりやすかったのでオススメします。
1カ月の勉強法とスケジュール【体験談】
勉強時間と頻度
平日は、電車通勤時の30分~1時間程度、休日は手が空いた時に、土日合わせて計2~3時間程度勉強しました。
平日の勉強は毎日していたわけではなく週2~4回くらいで、余裕があるときだけです。
一度に集中して勉強!というわけではなく、細切れの勉強でした。
合計の勉強時間は20~30時間程だと思います。
効率のいい方ならもっと短くいかもしれませんし、労働衛生の業務に馴染みが薄い方だともっとかかるかもしれません。
勉強したもの
さて、ここでいよいよ勉強法!ともったいぶりたいところですが、やったことは過去問のみです。
繰り返し過去問を解いていると分かるのですが、第一種衛生管理者の試験は類似する問題が何回も出てきます。
ひっかけ問題のひっかけ方も似ています。
そのため、過去問を何回も解いていると、
これ別の年の問題に同じのがあったな~。あ、これはまた別の年のだ。
という感じになってきます。
そのため、過去問対策が一番効果があるのです。
印象としては、運転免許の筆記試験に似ていますよ。
勉強スケジュール
「過去問やりました」だけでは、あまり参考にならないかもしれないので、1カ月のスケジュールを少し細かく説明します。
はじめに:過去問1年分に目を通す
まず初めに過去問に目を通してみます。解く必要はありません。
どんな問題が、どんな形式で、どれくらいの量出題されるかを確認します。
第一種衛生管理者の試験は5つの選択肢から1つの解答を選ぶ選択式になっています。
試験時間は3時間ですが、実際の試験問題を見てみるとそんなにかかることはないな、という印象でした。
1週間~2週間目:参考書(過去問題集)を1周する
まず、1~2週間程度かけて、参考書の過去問題集を1周しました。
模擬試験を含めて5~6回分です。
※最後の1年分は、試験前の実力確認用にやらずに残していました。
答え合わせの時に解説を読み、重要事項を暗記しながらだったので、かなりゆっくり1周しました。
この時は特に時間を気にしなくていいですが、1年分の問題を解くのに30分、解説を含めて1~2時間くらいでした。
また、通勤時間などを利用していたので細切れの勉強です。
この頃の点数は、2~3割程度とれているかでした。
解説の詳しくない過去問題集を使用する場合は、別で要点がまとまったテキストを用意して、重要事項を確認しながら進めてくださいね。
3週間目:苦手分野の過去問題のみマラソン
過去問題を解いてコツをつかんでくると、苦手科目と得意科目がハッキリしてきます。
衛生管理者試験は足切りがあるため、苦手科目の底上げをしようと苦手科目に絞って過去問を解きました。
わたしは、労働生理の暗記物が苦手だったので、労働生理の問題を重点的に解きました。
この時使用したのは参考書だけではなく、ウェブサイトやスマホのアプリです。
「第一種衛生管理者+一問一答」などのキーワードで検索してみるとたくさんのサイトやアプリがヒットします。
その中で自分に合ったものを2~3個チョイスしましょう。
4週目:再び過去問
参考書(過去問題集)を今度は時間を気にしながら解くようにしました。
ここまでくると1年分を解く時間は30分程度、点数も9割程度とれるようになっています。
実力を測るために残しておいた1年分の過去問も最終チェックとしてやりましょう。
過去問だけじゃ足りない?法令改正に注目!
過去問を使った試験対策で気を付けて欲しいのは、試験の直近で「労働安全衛生法」の改正がある場合です。
高確率で試験に出てきます。
過去問だけを勉強するデメリットは、こういった例年との変更点に対応できない点です。
テキストを購入した方は、近年の法改正も取り入れて解説されている場合もありますが、過去問しか勉強していない場合は、Webなどから積極的に情報を仕入れるようにしてくださいね!
わたしが試験を受けた年は、法令改正が少し前にあり、「特定化学物質のリスクアセスメントが義務化」されました。
試験にもバッチリでました。
労働安全衛生法の改正情報はどこをチェックすればいい?
労働安全衛生法の近年の法改正情報は、中災防の>安全衛生情報センターのHPで確認できます。
公布された労働安全衛生関係の法令が一年ごとにまとめられていて、クリックで法改正の概要と全文を確認できます。
ただし、法令の文がそのまま掲載されているので少し読みにくいです。
そこでオススメなのが、各労働局のリーフレットをチェックすることです。
リーフレットなので図解が多く分かりやすいですし、事業所に伝えたい重要事項をリーフレットにする傾向があるので衛生管理者試験でも出題されやすいと考えられます。
例えば、>大阪労働局のリーフレット掲載ページや>東京労働局のリーフレット掲載ページから内容を確認できます。
近年の法改正での注目ポイントは?
私見ですが、以下のような法改正は衛生管理者試験に出やすいのではないかと思います。
具体的な物質名の追加や変更、時間の変更などは衛生管理者の試験傾向から問題に出しやすい印象です。
予想①
「溶接ヒューム」及び「塩基性酸化マンガン」が特定化学物質に追加について
概要:「溶接ヒューム」と「塩基性酸化マンガン」が労働者に神経障害等の健康被害を及ぼすおそれがあることが明らかになったことから、特定化学物質(第2類物質)に加えられた。
- 令和2年4月22日に「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令等の施行等について 」が公布及び告示、令和3年4月1日から施行
- 特定化学物質(第2類物質)に追加された。(「特定化学物質障害予防規則」に合わせた作業管理の実施が必要)
- 特殊健康診断(※)、適切な換気措置あるいは呼吸用保護具の使用、清掃等が必要になる。
※金属アーク溶接等作業は、もともと、じん肺法に基づくじん肺健康診断が義務付けられているので両方の健康診断が必要になる
参考:「溶接ヒューム」に係るパンフレット・リーフレット(岡山労働局)
具体的な物質名を挙げて法改正が行われるので試験に出しやすいのでは、という予想です。
予想②
特働き方改革における労働安全衛生法改正定化学物質に追加について
概要:働き方改革関連法により2019年4月1日から「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化された。
- 労働時間の状況の把握がガイドラインから法律になった
- 労働者の面接指導の要件が100時間から80時間になった
- 産業医・産業保健機能が強化された
参考:「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます(厚生労働省HP)
具体的な時間数が変更になっている点、ガイドラインから法律に変更という、より守るべき内容になっている点から試験に出やすいのでは、という予想です。
あくまでも予想ですが、具体的な名称や数字が変更になっていると、「正しいものを挙げよ」「正しくないものを挙げよ」という選択問題で出題しやすそうですよね。
試験問題を解くコツ
過去問で見覚えがないな、、、という問題に当たっても、冷静になって考えてみましょう。
第一種衛生管理者の試験問題は、複数センテンスの中からの選択式なので、答えは必ず記載されています。
「衛生管理者」のコンセプトを理解していれば、間違えの選択肢を除外していって解答に近づけます。
私が意識していた衛生管理者のコンセプトは以下のものです。
- 労働者は守るべき対象
- 労働者の安全と健康は守らなくてはならない
- 労働者のために労働環境を整えなくてはいけない
- 労働者の危険は未然に防がなければならない
これらの考え方を前提に問題を読んでいくと、
これは明らかに違うな
とか
ちょっと考え方とズレてない?
という選択肢を除外できるようになって、正答率も上がりました。
まとめ:独学で合格するには過去問が一番大切
第一種衛生管理者試験の対策は、とにかく過去問です。
類似する問題が繰り返し出題されるため、問題と解答を覚えてしまいましょう。
過去問のやりこみと聞くと時間がかかりそうですが、1回分の問題数はそう多くありません。
科目ごとに分かれて出題されていますので、隙間時間に少しずつこなせます。
ただし!過去問だけだと、近年の法改正などに対応できない場合があります。
そういう場合は、最新のテキストやWebでの情報収集も取り入れてくださいね!
「第一種衛生管理者」の知識は、労働者の安全と健康を守るために欠かせない知識です。
会社に言われて…という方以外にも、新たに管理職になる方には持っていて欲しい知識です。
また、従業員の方も、自分を守る知識なので持っていて損はないですね!
忙しい働くママにも取りやすい国家資格なので、ママのキャリアアップのための資格としてもオススメです!
以上、独学で第一種衛生管理者の試験に一発合格した体験談でした!